アーカイブ

アーカイブ


リンク
第100回関西公共政策研究会
日時:2012年1月7日(土) 14:00-18:00
場所: 京都大学大学院人間・環境学研究科棟333演習室
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/map6r_ys.htm
報告1: 「バイオマス発電の諸類型とその現状、および課題―地域の森林整備と林業への貢献の可能性―」
報告者:小川沙有里氏(同志社大学大学院経済学研究科博士後期課程)
報告概要:
はじめに
近年、地域分散型の再生可能エネルギーへの社会的期待が高まり、バイオマスのエネルギー源としての利用も注目されている。政策面でもそれを促進する動きがあり、2002年には「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(略称RPS法)が公布され(翌年施行)、2011年には「再生可能エネルギーによる電気の固定価格買取制度に関する法律」(略称FIT法)が公布されて、2012年7月1日から施行される。そうした政策面にも関係する本研究は、森林日本で森林整備が遅れているという問題を考慮し、木質バイオマス発電が問題改善に資する可能性を探究するものである。
この作業を進める上では、木質を含むバイオマス発電の全国にわたる定量的な実態の把握が不可欠であるが、既存の研究ではそれは明らかでない。そこで本研究では、先ずバイオマス発電を(1)製紙業界の黒液発電、(2)地方自治体のごみ焼却発電、(3)木質バイオマス発電、(4)家畜糞尿や下水汚泥からのメタン発電、の四類型に大別する。その上で、次の二つの目的に取り組む。第一にそれら各々の設備件数と発電出力を明らかにする。第二に、林業と潜在的な関連の深い(3)の実態に関し、特に燃料調達の面からの分析を行い、地域の森林整備と林業に貢献する発電事業者の特徴を論じる。
調査方法
バイオマス発電設備の多くはRPS認定設備一覧の中に「バイオマス発電」という名称で公表されているので、そこから(1)、(2)、(3)、(4)への分類を行なった。しかし、(1)の中などには特にRPS認定を望まない事業者も少なくない。このため、その一覧に公表されていない設備については、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や日本下水道協会の資料などを参照して補足した。本研究が焦点をあてる(3)に分類される設備についは、上記以外に、現地調査、電話取材、ネット検索も行い、詳細情報をデータベース化した。
結果と考察
調査結果として(1)、(2)、(4)は生物由来の廃棄物の有効利用を目的とするもので、国内の林業への貢献はないことが判明した。(3)は、全国に125の設備があり、発電出力合計は約144万kWに達し、特に最近10年間における伸びが顕著である。燃料調達の面からは、木質バイオマス発電は、五つの方式に分類できる:(A)地元の木材関連企業と森林組合による協同組合の管理運営、(B)合板生産等の主業務に伴う副産物を燃料とする経営、(C)産廃業者から定期的に廃木材を確保する経営、(D)国内産の木質バイオマスを混焼する石炭火力発電、(E)RPS法の要請を念頭に輸入木質チップを混焼する石炭火力発電。
125設備のすべてを分析した結果、建設廃材などの有効利用にかかわるものが多いが、発電所の立地市町村、ないしはその周辺市町村の山林の林地残材、間伐材の利用に取り組んでいるものもあり、それは(A)、(B)、(D)の中に見出せることが分かった。FIT法が(E)適用除外としていない点は、日本林業にとって不利であり、見直しが求められる。
報告2:「中国環境配慮型都市政策における政策実効性確保手法の特徴―中央政府と地方政府との関係を中心に」
報告者: 金振氏(電力中央研究所研究員)
報告概要:
1.研究の目的
近年、中国では、急激な都市化率の上昇を背景に、「資源節約型社会、環境友好型社会づくり」国家目標のもと、国レベルでの様々な「環境配慮型都市」政策が進められている。
本研究は、11次5カ年国家発展計画のもとで展開されている3つの環境配慮型都市策の政策執行過程に焦点を当て、政策実効性を確保すべく中央政府および地方政府の間において用いられるユニークな政策手法(政策実効性確保手法)の特徴を分析し、その制度的背景を明らかにすることを目的とする。
2.研究の対象
検討対象となる3つの政策は、①国務院が環境規制政策として進めている国家目標再分配政策、②環境部(日本の環境省にあたる)が表彰制度として進めている都市環境評価政策、③地方政府が都市開発政策として進めている環境配慮型都市開発事業とする。
3.分析の視点、研究方法
分析にあたって、比較行政法の視点に基づき、日本および中国の国家体制の違い、とりわけ、中央政府と地方政府との法的関係に配慮しつつ、政策の枠組みや実効性確保手法の制度的背景について分析を行う。
研究方法は、環境配慮型都市政策関連の法令、通達、計画や学術論文、中央政府および地方政府公式ホームページ上公開資料等を対象とした文献調査および今年5月に行なった政府関係者を対象としたヒアリング調査による。
関西公共政策研究会事務局
〒650-8586 神戸市中央区港島1-1-3
神戸学院大学法学部 焦従勉研究室